かつて、富士屋ホテルで結婚披言宴を挙げるような新郎新婦は、上流階級に属する人々だったという。だから、件数も限られていたのだが、ホテルでの挙式が流行し、リゾート・ウェディングといった形式も普及した影響を受けて件数がぐんぐん伸び、いまでは年間四〇〇件を目標に掲げるまでに至っている。「例えば、お二人は東京で働かれていて、親御さんを北海道や九州など遠くからお呼び寄せになり、ご両家と、本当に親しいご友人数人をお招きして、小グループで親密な披露宴をお持ちになるお客様が増えましたね」とコーディネーターは最近の傾向を話してくださった。
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では、具体的には、どのような段取りで挙式の話が進むのだろうか。最初、お客から資料請求の電話が入ると、コーディネーターは依頼通り資料を送り、数日後に確認の電話を入れる。そして、「ぜひ一度、ご来館ください」とお誘いする。これまでの経験で、お客が来館したら、半分は決まったような感触を得るという。それだけ施設に自信があるわけだが、根拠はそればかりではない。「お客様には、私の方からお近づきにならせていただくという気持ちで接します。端的に言えば、私の方から好きになる、ということでしようか」実務的な打ち合わせよりも、まず、趣味などを話題にして距離感を縮め、お二人に関心を持つように努めるのだという。とかく、これから結婚式を挙げようとしているカップルは不安を抱いている。それだけに、導入部は大切なようだ。そして、ひと通り案内し、施設を気に入ってもらえれば、その場で仮押さえとなるが、数日後、コーディネーターは必ず直筆で礼状をしたためるそうだ。コーディネーターがにこやかに話をする姿を見ると、彼女の温かみこそが、これから式を挙げる二人の不安を解消するように思えた。